vol.58 問題です。8月8日と10月1日に共通するキーワードは何でしょう。
8月8日は「フジテレビの日」として、キー局中心に盛り上がっている日として、10月1日は知る人ぞ知る「都民の日」として、それぞれお馴染みかも知れませんが、今回は関係ありません。
8月8日は「キッズデザインの日」。10月1日は「デザインの日」ということで、正解は、「デザイン」。
「キッズデザインの日」は、今年の8月に出来たホヤホヤの記念日、
「デザインの日」は、平成2年に制定された記念日です。
”「デザイン」は、生活と産業を結び、社会全体を発展させる力がある”
グッドデザイン賞を主催する(財)日本産業デザイン振興会のホームページには、このように書かれています。
今回のモバイル最前線では、今年で51回目を迎えたグッドデザイン賞(Gマーク)を取り上げます。モバイル然り、ありとあらゆる身の回りのシステム、サービスが日々高度化し、どんどん複雑になっています。そんな中、「デザイン」という切り口で世の中を見つつ、年を越すのはいかがでしょうか。
■designって
ロングマン英英辞典によると、デザイン(design)とは、
- PROCESS OF PLANNING(計画づくりの工程)
- ARRANGEMENT OF PARTS(パーツの配置)
- PATTERN(模様)
- DRAWING(描画)
- INTENTION(意図)
「ドコモのFOMA N703iD」や「キリン極生」、「国立新美術館」「ユニクロのNYの旗艦店」等のアートディレクション、クリエーティブディレクションを手がけた佐藤可士和さん。彼の著書、『佐藤可士和の超整理術(日本経済新聞出版社)』には、「プライオリティをつける」「独自の視点を導入する」「思考を情報化する」といった3つの整理術が紹介されています。
”複雑化する世の中で何かをデザインする”=”整理する”こと
なのかも知れませんね。
■51年の歴史がデザインの変遷を物語る
ところで、日本国内の”デザイン”の総本山と言えば、「グッドデザイン賞」ではないでしょうか。主催する(財)日本産業デザイン振興会(JIDPO)のサイトによると、
「グッドデザイン賞」は、1957年に通商産業省によって創立された
「グッドデザイン商品選定制度」(通称Gマーク制度)を母体とする、
我が国唯一の総合的デザイン評価・推奨制度です。(http://www.g-mark.org/aginfo/agi_01.html より)
これまでの51年間には様々な経緯があるようですが、端折ると、
- 1957年:国内企業の海外商品の模倣防止を背景にGマーク制度を創設し、オリジナルデザインを奨励する。
- 1963年:Gマーク制度を公募形式に移行する。
- 1980年:Gマーク選定商品を「グッドデザイン大賞」「部門賞」などで表彰開始
- 1998年:行政改革の一環として「民営化」後、「Gマーク」は「グッドデザイン賞」として再スタート。
戦後の経済成長の中、”模倣を禁じるだけでなくオリジナルの良いものを推奨していこう”というポジティブシンキング(?!)のもと出来たこの制度も、今では、「商品デザイン」、「建築・環境デザイン」、「コミュニケーションデザイン」、「ビジネス新領域デザイン」の各部門賞に加えて、3つの特別賞「インタラクティブ」「ユニバーサル」「エコロジー」を設け、グッドデザインの奨励を推進しています。
一方で、Gマーク選定後10年以上経過した商品のうち、今でも製造/販売されているものを対象とした「ロングライフデザイン賞」の表彰も行われています。
新しいデザインに価値を見出すと同時に、古きよきモノに対する視点も忘れていません。50年という見方によってはまだまだ歴史浅いかもしれませんが、半世紀が経っていることも事実。新旧織り交ぜたデザインの変遷がグッドデザイン賞で見て取れます。
■弧印は弧を描いた印鑑です(今年の受賞作から)
さて、今年は、2,945件がエントリーし、1,043件(企業数:594社)がグッドデザイン賞を受賞しました。
内訳は、
- 商品デザイン部門 777件
- 建築・環境デザイン部門 124件
- コミュニケーションデザイン部門 81件
- 新領域デザイン部 61件
(携帯電話・モバイル関連商品は1,043件中41件が受賞しています。)
商品デザイン部門が約8割を占めていますが、その中で、中小企業庁長官特別賞を受賞した「弧印」は秀逸です。説明によると、
今まで平面だった印面を円弧にする事により、
面で接していた印面を線の連続で接する方式に変えた
印鑑です。紙の下に軟質素材を入れなくても綺麗に捺印
する事ができ、軟質素材を敷かないためシワが寄る事も
ありません。
有限会社AQUA(静岡県) とロッド・ワークス(静岡県) の作品で、百聞は一見にしかず。こちらをごらんください。
http://www.g-mark.org/search/Detail?id=33499
その他、マフラー、爪切り、軍手、絵本、ソフトウェア等が選ばれた中小企業庁特別賞は面白いです。
http://www.g-mark.org/library/2007/award-tyusyou.html
デザインセンスは規模を問わず、企業における競争優位確保のためには、必須ですね。
ちなみに、グッドデザイン大賞は、三洋電機のeneloop universeをコンセプトとしたプロダクト群が受賞。(使い捨てない充電池「eneloop(エネループ)」を軸とした製品群「ソーラー式充電器」「使い捨てないカイロ」などが発売中)
商品デザイン部門は、KDDIと京セラの携帯電話機(MEDIA SKIN)、や、任天堂のWii、新幹線N700系などが受賞。
建築・環境部門は、東工大の築後40年の校舎の耐震補強改修工事や、青森県の海岸部における既存護岸の改修工事が受賞。
子ども向け社会体験プログラム施設のキッザニア東京と、3D仮想世界のセカンドライフがコミュニケーションデザインを受賞。
新領域デザインは、完全密閉型植物工場システムが受賞。
3万件以上にのぼるグッドデザイン賞の全受賞対象をグッドデザインファインダーで検索できます。各部門の受賞対象はこちらからごらんください。http://www.g-mark.org/search/
■51年目から知財に対してゆるかな許諾を与えるためにCCライセンスを導入
さて、このグッドデザインファインダーの検索結果ページの左隅に
【CC(BY)(ND)】このページに掲載している情報は「クリエティブ・コモンズ」<表示・改変禁止>日版ライセンス2.1で
公開されています。
とあります。そもそも「クリエイティブ・コモンズ」とは何かを説明すると、
- 「完全な著作権保持」と「完全な著作権放棄」の間の【中間層】を埋める役割を果たすもの。
- コンテンツに対して著作権を保持しながら、一定の自由を事前に許諾する。
- 例えば、作り手の名前を表示したら使用OK
- 例えば、非営利目的での使用ならOK
- 例えば、改変しなければ使ってOK
より自由な著作権ルールを実現し,より豊かな情報流通と文化・科学技術の発展を支えようと、スタンフォード大学のローレンス・レッシグ教授らが心となって運営されているプロジェクトで、インターネット登場後の動きです。
クリエイティブコモンズに関心のあるかたは、レッシング教授の著書”CODE”をまずは読んでみてください。
51年目を迎える今年からクリエイティブコモンズを導入したところ、今年の受賞者の62%がCCに賛同したとのことです。
公的機関がこのようにCCライセンスを導入することは聞いたことが無くとても驚きました。JIDPOは、今回の導入の目的を、
受賞情報が多方面で有意義に活用されることで、
受賞者のPRにつながるものと考えています
設立当初の「模造防止」から半世紀経ち、今度は、CCライセンスを導入し、創造的模倣を促すために人肌脱ぐといった姿勢は、あっ晴れ!!
デザインという新しい価値の創造行為がCCライセンスを通じて更なる価値創造に連鎖を期待したいものです。
グッドデザイン賞は、モノだけでなく、コト、新しいビジネスも対象にしています。期待するだけではなく、自分も価値創造を!ということで、年越しを前に、グッドデザインファインダーを通して、頭の体操をしてみます。
参考サイト
・クリエイティブ・コモンズ・ジャパン 事務局からのリリース
http://www.creativecommons.jp/news/2007/12/12/post_38.html
・クリエイティブ・コモンズ ライセンスについての図解
http://www.creativecommons.jp/site/shared/img/CC-Flyer.png
・『キッズデザインの日』について(平成19年8月8日・経済産業省)
http://www.meti.go.jp/press/20070808003/070808_kids_day.pdf








