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vol.64 情報大航海プロジェクトを体感

2008年3月26日

先日、「情報価値の共創による国際競争力強化に向けて」というタイトルのシンポジウムに参加してきました。具体的には、経済産業省が主導している「情報大航海プロジェクト」を分かりやすく説明しようという趣旨のもので、関係者が一堂に会していました。

今回は、情報の大海原に果敢にチャレンジしようとしている「情報大航海プロジェクト」に関連するトピックをご紹介します。

 

■2011年には1.8ゼッタバイトのデータが流通

ギガ?テラ?エクサ?ゼッタ?

これは何を意味するでしょうか。ギガ、テラでなんとなくイメージが湧く人もいるかも知れません。

ギガは、10の9乗(10億)
テラは、10の12乗(1兆)
エクサになると、10の18乗(100京;ケイ)
ゼッタにいたると、10の21乗(10垓;ガイ)のこと。

2002年に5エクサバイトのデータが人類によって産出されているのに対して、最近の予測では2011年に1.8ゼッタバイトになるそうです。

[PDF]The Diverse and Exploding Digital Universe( by IDC )
http://www.emc.com/collateral/analyst-reports/diverse-exploding-digital-universe.pdf

 

ゼッタだエクサだ何のこっちゃという感はありますが、情報量が飛躍的に増えていることは事実。例えば、

人の口から口へと伝わってきた噂話が、ブログの普及によって、簡単にインターネット上に書き込まれ、噂データとしてこの世に産出。

これまで額に手を当てて熱い、熱があるなんていっていたことが、センサー技術の発達によって、熱探知・即対応なんて体制になっていて、これを支えているのもデータ。

iPod+Plusを装着して走ることで、走行距離がデータとして残る。GPS携帯で位置情報がデータとして蓄積される等など。

これら全てがデータ量の増大に貢献(?)しているという訳です。


■情報爆発時代の大海原で漂流?

東大の喜連川(きつれがわ)教授が2007年の現代用語の基礎知識の巻頭で「情報爆発時代の心がまえ」を説明されています。

 「情報爆発」という言葉は、情報がボンッと爆発するのではなく、
 情報量が爆発的に増えている状態を意味しています。

喜連川教授によれば、情報爆発にはポジティブ、ネガティブの両面があり、
・ポジティブにとらえれば、「価値創出の機会」
・ネガティブにとらえれば、「欲しいものをさがすことが出来ない」

噂話の良し悪しは別にして、健康への配慮を助けたり、趣味嗜好の活動を充実させたりと、良い面は多々あり、「これまで情報化しえなかった分野が情報となり、その恩恵を得ることが出来る。」といった価値創出につながっていますね。

 走行距離が可視化することで、もっと走ろうというモチベーションに
 変わったり、仲間と走行距離を競ったりと、いろいろな広がりに
 つながり、そこから新しいビジネスが創出されることもあります。
 
一方で、情報爆発により、情報を探すのが大変というよりは、探しきれていないのではないか、という思いを常に抱いていることも事実。

探しきれていないということは、いうなれば、存在しないと同じことでもあります。情報があふれている大海から何か欲しいものを探そうというのは、至難の業で、目的地にたどり着けず漂流、そんな可能性とも隣り合わせですね。

 

■情報大航海プロジェクトとは

現在、経済産業省が中心となった「情報大航海プロジェクト」が進行中です。当初は「国産Googleをつくるプロジェクト?!」と指摘されたりもしましたが、着々と進んでいるようで、プロジェクトサイト(http://www.igvpj.jp/index.php)では各種活動が報告されています。もちろん、国産Googleをつくっているプロジェクトではありません。

3月17日に、このプロジェクトに関連するセミナー「情報価値の共創による国際競争力強化に向けて」が開催されました。

セミナーで紹介されていましたが、今回のプロジェクト推進の問題意識は、情報の大海原に漂流せずに価値創出がなされるか、ひいてはこれにより生産性や国際競争力を高められるかといったもの。甘利経済産業大臣が経済財政諮問会議に提出した、「各国の一人当たりGDP(国内総生産)と主要産業について」の資料が度々、参照されていたのが印象的でした。

http://www.keizai-shimon.go.jp/minutes/2008/0117/item6.pdf

<各国の一人当たりのGDPが高い国>
1位:ルクセンブルク大公国(人口:46万人)
2位:ノルウェー王国(約468万人)
3位:アイスランド共和国(30万人)
4位:アイルランド(約413万人)
5位:スイス(746万人)
6位:デンマーク王国(約543万人)


18位:日本 (1億2776万人)

OECD(経済協力開発機構)諸国中、93年当時は2位だった日本が2006年現在18位になっています。パネリストの方が、上位の国は小国で自ずと世界を意識するのに対して、日本は中途半端に大国であるため自国完結型だとも指摘していました。

国際競争力の強化、、、、時には意識しても悪くはないテーマだと思います。

このプロジェクト、経済産業省が単独で行うのではなく、文部科学省、総務省と連携を図って進めているようで、関連するプロジェクトは、
・先進的なストレージ技術及びウェブ解析技術(文部科学省等)
・革新的実行原理に基づく超高性能データベース基盤ソフトウェアの開発(文部科学省)
・電気通信サービスに関す情報信憑性・信頼性技術等に関する研究開発(総務省)
・情報大航海プロジェクト(経済産業省)
などがあります。

どちらかといえば、基礎分野(文部科学省、総務省)、応用分野(経済産業省)という色分けになっています。

プロジェクトは、
1.ユーザーニーズ主導
2.グローバルな貢献(国際標準化)
3.オープン化
という、3つの基本的な考え方を軸としています。

ユーザーが求める情報を、的確に検索・解析できるよう、
・サービスの展開(次世代技術の実証)
・技術の開発
・制度・環境の整備
を組み合わせて進めています。

経産省の方がパネルで、著作権法の関係で検索エンジンのサーバが全て海外にあり、それだけでデータトラフィックが増えていると指摘。法制度については丁寧に関係機関と話をする必要を認めつつ、フェアユースの観点で、「後で直せば良い」というスタンスで進めることも必要でないかと話をされていたのは新鮮でした。

 

■これからはマルチメディア検索!?

喜連川教授の発表では、国際競争力強化が行われている例として、EUにおける取り組みを紹介していました。EU全体では、マルチメディア検索エンジンに注力していて、大航海プロジェクト同様、研究とサービスの融合を図りつつ、法制度の側面にも焦点をあてているようです。

CHORUS(http://www.ist-chorus.org/)というEU全体のプロジェクトがある一方で、各国独自の取り組みも進んでいるとのことで、大航海プロジェクトとアジア各国との連携も、もしかしたら必要かも知れないですね。

セミナーと同時開催のデモ展示では、
・動画検索技術
・レコメンデーション技術
・対話型検索技術
が紹介されていました。

なかでもSagool.tvは、動画検索技術のアルゴリズムが特徴的なようで、(したがってアルゴリズムは教えてくれませんでした)、インターネット上の動画を一元的に検索可能としつつ、関連動画(おすすめ動画)を表示してくれます。インターフェイスが美しく、Youtubeよりも断然温かみを感じます。

Sagool.tvにアクセスすると、最初に、「背もたれを倒して、気軽にお楽しみください」の表示が出ます。

国際競争力を考えつつ、まずは身近なところからコトをはじめてみること、大切ですね。