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食とくらしの小さな博物館

2006年10月25日

「食とくらしの小さな博物館」というところへいってきました。謙虚なネーミングですが、実は味の素㈱の企業博物館です。場所は高輪…高輪プリンスホテルの近所です。この博物館、名前も控えめですが表示も控えめで、「味の素グループ高輪研修センター」というビルの1階に「味の素 食の文化センター」が入っていて、その上の階(2階部分)が「食とくらしの小さな博物館」になっているのですが、この順番で看板も小さくなっているみたいで、うっかりしていると通り過ぎてしまいそうです。

今では知らぬ者のない旨み調味料「味の素」ですが、特許庁認定による「日本の十大発明」のひとつなのだそうです。官庁語でいうと「グルタミン酸塩を主成分とする調味料の製造法(1908年)」、発明者は池田菊苗(1864~1936)です。しかし、「グルタミン酸」は池田氏が昆布から抽出した新物質という訳ではありません。「グルタミン酸」はドイツの化学者リットハウゼンによって1866年に発見されています。リットハウゼンは小麦粉のたんぱく質から「グルタミン酸」を発見しました
が、この物質を味覚と関係づけるようなことは全くしていません。池田菊苗の場合は「昆布は旨い…この旨みは何に起因するのか(昆布の『主要呈味物質』は何か)」というところから研究が出発しています。池田菊苗は「グルタミン酸」を発見したのではなく、「旨み」を発見したといえましょう。

池田菊苗自身次のように述べています。
~~学術上より見れば余の発明は頗る簡単なる事柄なりしなり。「味の素」が広く世に行なわれ幾分にても国民栄養の上に貢献する所ありとせば其は主として製造者たる鈴木氏の宣伝の功に帰せざるべからず~~

巧みに宣伝を駆使して、「味の素」をグローバルな商品に育て上げたのが「鈴木氏」であり、鈴木氏が創業した味の素㈱であるということでしょうか。「食とくらしの小さな博物館」では、味の素の歴史がその時代ごとの宣伝と共に展示されています。「宣伝」によって、従来、存在しなかった「旨み調味料」という商品の存在を認めさせ、世界中に販売していく…凄いことだと思います。

池田菊苗博士の言葉は真理を衝いています…「鈴木氏の宣伝の功に帰せざるべからず」。