集客こそ命!変化の兆しをつかみましょう《中小企業応援リレーコラム vol.17》
がんばる中小企業応援リレーコラム
『どうする!反転攻勢の経営』~景気回復の芽を伸ばせ~第1回
「集客こそ命!変化の兆しをつかみましょう」
中小企業診断士 入山 央 (いりやま ひろし) 氏
(PDFでお読みになりたい方はこちら)
厳冬のように冷え込んだ日本の景気にも、春を予感させる景気回復の芽がちらほら見られるようになりました。日頃、経営コンサルタントとして経営者の方々とお話させて頂いている私も、ようやく中小企業にも前向きな話題が少しずつ増えてきた、と実感しています。
今回、千代田day's メールマガジンで連載させて頂くこのコラムも、是非、前向きな経営者の皆さんの背中を、さらに強く押して差し上げられるような内容にしたいと思います。よろしくお願いします!
さて、一般の消費者をお客様とする小売業や飲食店などにとって、集客が生命線であることは言うまでもありません。私は普段お付き合いしている経営者の皆様に対して、集客に関する様々な分析や提案を差し上げています。今回は、その一部をここで紹介したいと思います。
■商圏の変化を捉えよう
新たなビジネスチャンスを狙って新規開店する場合はもちろん、長年の常連さんに支えられている老舗であっても、徐々に変化する周辺の環境と、全く無縁ではいられません。日本中がじっと不況の冬を耐えている間にも、皆さんの商圏、千代田区には変化がありました。ここではまず、2008年9月のリーマンショックから、2010年4月までの19ヶ月間に、千代田区の人口にどのような変化があったか見てみましょう。
日本は既に人口減少社会と言われていて、多くの都道府県では人口が減少に転じていますが、東京23区は概ね人口の増加が続いています。ここ千代田区も、人口の絶対数こそ少ないものの、世帯数で約3.8%、人数で約3.3%増加しました。
「たかが3%」と思われるかもしれませんが、人口が増加していると言われている23区全体でも率にすれば 1%ちょっと。いずれ人口が中国を抜くと言われているインドですら 2%ちょっとです。私が担当している他の商圏でも、これだけ人が増えているところは、そうありません。なかでも注目は、再開発事業のあった富士見二丁目です。人数で770名、率にして実に65%も増加しました。千代田区は全体としては、単身世帯が増加していますが、この地区ではカップルや子連れなど、二人以上の世帯が増加しているのが特徴です。
このように、夜間人口が少ないと言われる千代田区にも、着実に変化が訪れています。少なくとも、ここ千代田区で、地域住民の方々を相手に、商売を営んでいらっしゃる経営者にとって、この変化はチャンスだと言えるでしょう。ちなみに、千代田区で人口の多い年齢層は、25歳~42歳になっていますので、新しい商品・サービスの提供や、店舗の改装・リニューアルなどを検討される際は、こういった商圏の変化を念頭において、新たな顧客を集めて頂きたいと思います。
■生活動線「駅ソバ」に密着しよう
集客のチャンスは、人の移動するルート、「生活動線」でも生まれます。最近の消費者は、インターネットや駅ナカといった、利便性の高い買い方に慣れていますから、何かのきっかけがなければ、通常の移動ルート(生活動線)を外れた店に寄ることはありません。言い方を変えれば、多くの人の移動ルートとなる場所、都心であれば駅のそば、ここでお店を知ってもらうきっかけ、集客の仕掛けが重要となります。
集客の仕掛けとして、従来のようにチラシやティッシュを配ったり、看板や広告を出したりするのも、もちろん有効ですが、大切なのはその中身です。道を行く人の生活動線を意識して、駅ナカとまでいかなくても、駅や生活動線のそばで商品やサービスを提供している、とアピールすることが重要です。私はこのやり方を、駅のそば~駅の立ち食い蕎麦屋にひっかけて「駅ソバ」呼んでいます。
「駅ソバ」は、区内に住む方に対してだけでなく、区内へ通勤される方々にも有効です。例えば、九段下駅へ通勤する方の場合、自宅が東西線や都営新宿線方面であれば、比較的遠方から乗り換えなしに通うため、多少の用事は九段下駅そばの店で済ませる可能性が考えられます。あるいは、自宅が有楽町線や都営三田線方面で、乗り換えがあれば、飯田橋駅そばや神保町駅そばの店まで、一駅足を伸ばして寄ってもらえるかもしれません。
要は、お店の周辺を行き交う人々は皆同じではなく、実際には異なった生活動線を持っています。その中から、集客しやすいターゲットに狙いを定めることが効果的なのです。皆さんのお店の周辺にどのような事業所があって、そこへ通勤する方がどのような移動ルート(生活動線)を使っているか、是非、改めてチェックしてみてください。
■自分の店を、お客様の記憶に残そう
歳のせいか、買い物に出かけたのに、何を買うかはもちろん、何というの店へ行くつもりだったかまで忘れることがあります。これほど極端ではなくても、最近寄ったお店を、最近寄った順番に10軒思い出すのは、記憶力の良い方でもなかなか難しいでしょう。
実は集客で一番差がつくのが、いかにお客様の記憶に残るお店になるか、という部分です。特に、初めてのお客様にお店へ来て頂く場合、商品やサービスの良し悪しをいくら述べても、それは結局、来て頂いた後にしか伝わりません。なので、お店の印象が記憶に刻まれていることの方が、来店頂く重要なポイントになります。お客様にお店を記憶してもらう工夫は色々ありますが、ここでは比較的簡単に実行できるアイデアを幾つか御紹介します。
・店員さんが外で積極的に声を出す・・・・・別に大声を張り上げて、お客様を呼び込む必要はありません。お客様は、店員の氏名よりも、店員の顔や声の方が覚えやすいものです。また、お客様は、見覚えのある顔や、聞き覚えのある声がするお店の方が、安心して入店しやすいものです。お客様が来店する前から、店員さんの顔や声を記憶していれば、集客力は高まります。
・アピールする商品・サービスを絞る・・・・・実際には、店内に豊富な商品やサービスを揃えて構いませんが、「王将=餃子」「ユニクロ=ヒートテック」のように、店の外に向けてアピールする商品・サービスは、絞った方が、覚えやすく印象に残ります。もちろん、アピールする商品・サービスの候補は色々あるでしょうから、効果を見ながら、時々変えても構いません。
・お客様に「こっそり」サービスする・・・・・話が逆のように聞こえるかもしれませんが、既に来店頂いたお客様の「口コミ」には、新規のお客様を集める、大変強い力があります。また、人間誰しも「あなただけ特別よ」と言われて、悪い気分はしないものです。そして、この「こっそり」が、思わず他の人に話したくなる体験談になるのです。
■街は生きている
地域に根を下ろして商売を営んでいれば、リーマン・ショックのように劇的ではなくても、日々、小さな変化を体感すると思います。人は皆、歳を取り、いずれは街を去り、新たな人と入れ代わっていきます。新しいお客様を捉えて、過去のお客様と同じように、ひいきにして頂くことが、末永い繁盛の秘訣だと思います。是非、この景気回復の芽を伸ばしてください!









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