店創り・品揃え ミニチェックシート《中小企業応援リレーコラム vol.18》
がんばる中小企業応援リレーコラム
『どうする!反転攻勢の経営』~景気回復の芽を伸ばせ~第2回
「店創り・品揃え ミニチェックシート」
中小企業診断士 三浦 英晶(みうら ひであき)氏
(PDFでお読みになりたい方はこちら)
新聞・雑誌などでは、大企業の業績回復についてのニュースが目立つようになりました。中小企業にはまだまだ厳しい状況が続きますが、私のお客様の中には、今春に開業された経営者の方が数人いらっしゃり、今のタイミングを商機と捉えられています。このコラムのテーマにもあるように、まさに“反転攻勢”の時なのかもしれません。
「売れる店」と聞いて、真っ先に思い浮かぶのは、やはり魅力的な従業員です。買うものがなくてもついつい寄ってしまうような趣味のお店、まるでお母さんのような女将さんがいる小料理屋、長年の付き合いの美容師など、どのような業種においても、商売において一番大切なのは、“人”であることは皆が認めるところでしょう。しかし、従業員が魅力的であれば良いわけではないことも周知の通りです。今回は、人という要素以外の“店創り“と“品揃え”の2点に焦点を絞りたいと思います。
千代田区内にも、数々の店がありますが、今生き残っている店には、必ず生き残っている理由が何処かにあるはずです。では、あなたのお店には、何処にその理由があるのでしょうか?今回は、基本的な幾つかの項目からそれを再認識し、その部分を更に伸ばしていただくきっかけにしていただけたら幸です。反転攻勢をかける際、どのような方向性で行くのか、“迷った時は、基本に戻る”です。
■ 店舗の持つ機能
店舗には、下記の様ないくつかの役割があります。
(1) 訴求機能(知らしめる)
店構え、外装、看板などにより、店舗を目立たせる機能です。「私の店はこんな店です!」というアピールは十分ですか?
(2) 導入機能(入らせる・回らせる)
店内へ顧客を誘導する機能です。店頭の演出、入りやすい入り口、明るい店内照明などで誘導効果は出ていますか?店内レイアウトなどを工夫することにより、顧客を奥まで誘導する機能も含まれます。
(3) 演出機能(魅せる)
空間デザイン、色彩、照明などで商品の魅力を演出し、顧客の購入意欲は促進されていますか?視覚的な効果だけでなく、音楽での演出方法もあります。
(4) 選択機能(選ばせる)
商品陳列の工夫、什器、POPなどの活用により、見るだけでなく、手に取り、触れることにより商品を選ばせる機能です。顧客が商品に触れやすくなるしくみになっていますか?
(5) 購入促進機能(買わせる)
最終的に、選んだ商品を購入してもらうのが店舗の目的です。買い物かごやカートなどを活用し、買いやすいしくみになっていますか?
(6) 情報発信機能(伝える)
ビジュアル的な展示陳列やポスター、ちらしなどにより、顧客に商品情報を発信する機能です。商品の外観だけでは分からない機能を、文字情報、映像情報などでうまく伝えていますか? あなたのお店では、どの機能に趣を置いていますでしょうか? また、このような店舗の様々な機能が発揮された結果として、日々の売上が成り立っていると考えると、売上高を次の式で表わすことが出来ます。
売上高=来店客数×客単価
この式中の、“来店客数”を伸ばすことに成功しているお店は、(1)訴求機能や(2)導入機能が充実しているでしょう。更に、“客単価”については、次のようにさらに細かく分けて考えることができます。
客単価=動線長×立寄率×視認率×買上率×買上個数×商品単価
(7) 動線長
顧客に店内の商品をより多く見ていただくには、まず店内のいろいろな所に行ってもらわなければなりません。顧客動線は長くなっていますか?商品のくくり方の工夫、店内の見通しを良くして回遊性を高めることなどで、(2)導入機能、(3)演出機能を向上させます。
(8) 立寄率
顧客が動線上で立ち止まる回数は多くなっていますか?マグネット商品、エンド陳列などの工夫で、(3)演出機能(6)情報発信機能を高めます。
(9) 視認率
顧客が立ち止まった個所で、商品を手に取る回数は多くなっていますか?(3)演出機能(4)選択機能(6)情報発信機能が関係します。POP、商品紹介映像などがよく使われています。
(10) 買上率・買上個数
手に取った商品を、実際に購入する確率は高くなっていますか?主に(5)購入促進機能(6)情報発信機能が関係します。セット販売・パック販売をよく見かけます。
(11) 商品単価
商品の価格設定も客単価向上の重要な要因です。適切価格になっていますか?また、その適切価格をどのように決めていますか?
このような、客単価を上げるための活動「インストアプロモーション」は、店外で行うプロモーションよりも、比較的少ない投資で大きな効果が得られると言われています。顧客が最初から買うことを決めている商品の売上が約1割なのに対して、買うつもりのなかった商品を店内で購買決定する割合が約9割であるというデータがあります。
また、近年では、通信販売業者が売上を伸ばしており、中でもインターネット通販の伸びが目立ちます。この業態では、パソコンや携帯の画面の中で自社の個性・世界観を出さなければならない、という面では、実店舗よりもシビアです。ネットショップにおいても、(1)~(6)の各機能を持たせ、如何に自社のサイトに顧客を呼び込み、如何に買ってもらうか(如何に(7)~(11)を向上させるか)という課題は同じです。
■ 商品構成
品揃えの方向性についても、様々です。
(12) 品揃えの幅(商品ライン)
コンビニエンスストアのように幅広い品揃えですか?
(13) 品揃えの深さ(商品アイテム)
幅を絞り、より深いニッチな商品まで揃え、専門性で勝負していますか?
(14) 価格(商品プライス)
安さで勝負していますか?プレミアム感で勝負していますか?
(15) 品質(商品クオリティ)
価格では勝負せず、品質で勝負していますか?
(16) 納期(商品リードタイム)
欠品、注文商品の入荷までの日数は他店より短いですか?
(17) 寿命(商品ライフサイクル)
新商品発売の頻度・定番商品との割合はどうでしょうか?商品の寿命はどれくらいですか?
あなたのお店の商品構成はどのようになっていますでしょうか?
私の顧客に、家電ネットショップの経営者がいます。このショップは、価格.comで上位に入るような格安店ではありませんが、コンスタントに売上を上げています。秘訣は、“絶対に欠品させないこと”です。そうすることで、他の格安店で人気商品が品切れしている間や、納期が長くなっている間に、受注を増やすことが出来ています。これは、(14)価格よりも、(16)納期に注力した例です。
また、中小店の場合、大手のようなフルラインナップの品揃えは困難です。ある工具店では、狭い店舗にもかかわらず、とても深い品揃えを実現しています。その代わり、1つの商品に対して在庫は1~3個程度しかありませんが、在庫管理に注力し、仕入頻度を増やすことで、欠品を最小限に抑えています。“この店に行けば、欲しいものがある”というイメージを顧客に植え付けることに成功しています。数年前までは、売れ筋商品に注力し、売れない商品は取り扱いを止めていくというのが一般的でした。しかし、ネット通販の分野で、あまり販売数の伸びないマニアックな商品でも、数多くのアイテムを揃えることで、トータルの売上高は全体の中でかなりの割合まで伸ばすことができるという、ロングテールマーケティングの考え方が広まりました。そして、実店舗においてもこの考え方による品揃えが普及してきました。上記工具店は、このように、(13)品揃えの深さに注力した例です。
また、(12)品揃えの幅と(13)品揃えの深さにはこだわらず、狭小店舗で単一商品しか販売していない、1品に全ての力を注ぎ勝負しているお店も、飲食店でよく見かけます。
■ サービスの特異性
サービスという商品には、物としての商品とは異なる特徴があります。サービス業の経営者の方々は、これらの特異性をいかに回避するかということに知恵を絞られていることと思います。
(18) 無形性の回避
形がない、目に見えないサービスを、どうやって顧客に認識してもらっていますか? (パンフレット化、ネーミングの工夫など)
(19) 非貯蔵性・同時性の回避
物のように在庫することが出来ないサービスを、どうやって需要の変動に対応させていますか?(時間割引、予約制、セルフサービスなど)
(20) 不可逆性の回避
返品することが出来ないサービスを、どのように顧客からの要望に答えていますか?(クレーム対応、美容院での一週間以内修正無料サービスなど)
(21) 異質性の回避
物のように品質が均一でない、サービスする従業員によって異なる品質を、どのようにコントロールしていますか?(サービスのマニュアル化、教育訓練、一部機械化など)
これらの項目は、サービス商品に限ったことではなく、小売店での購入時のサービス・アフターサービスにも通じるものです。
以上、あなたのお店は、この21項目のうち、何処に趣を置かれていますでしょうか?店と商品には、経営者の人柄が如実に表れています。いや、経営者そのものと言っても過言ではありません。方向性を明確にして、何かで、地域ナンバーワン、日本一、世界一を目指して下さい!
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